新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

補助金

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?

正式名称は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金です。
本記事では以下「新事業進出・ものづくり補助金」と表記します。

新事業進出・ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が新しい製品・サービスの開発や、新市場への進出、海外展開に向けた設備投資を行う際に活用できる補助金です。
従来の「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」の考え方を統合した制度であり、設備投資を通じて企業の生産性向上や付加価値向上、賃上げを後押しすることを目的としています。 

補助対象は設備投資だけではなく、システム導入や試作品開発、外注費、専門家への依頼費など幅広い経費が対象になります。
また、補助事業終了後も事業計画に沿って売上や付加価値額、賃金の向上を目指すことが求められます。 

新しい事業を始めたい会社や、新しい商品・サービスを開発したい会社が、機械や設備などを購入するときに国が費用の一部を補助してくれる制度です。
「新しいことにチャレンジしたい企業」を応援する大型補助金です。

各種条件

この補助金は、一定の条件を満たした中小企業等が申請できます。
単に設備を購入するだけでは対象にならず、「今までとは違う新しい事業」や「革新的な製品・サービス」の開発であることが重要になります。

対象業種

業種対象
製造業
建設業
卸売業
小売業
飲食業
サービス業
宿泊業
IT・情報通信業
医療・介護(一部対象)
その他中小企業基本法に定める中小企業

業種は幅広く対象となっています。
ただし、公募要領で定められた対象外事業や対象外業種は申請できません。

申請条件

主な申請条件は以下のとおりです。
① 中小企業等であること
中小企業基本法で定められた中小企業、小規模事業者などが対象です。
日本国内に本社及び補助事業実施場所を有することが条件です。
また、みなし大企業に該当する場合は申請できません。

② 新しい事業に取り組むこと
既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出や、革新的な製品・サービス開発などが必要です。

新市場・高付加価値事業とは
今まで販売していなかった商品やサービスを、新しい顧客へ提供する事業のことです。

③ 事業計画を作成すること
3〜5年間の事業計画を作成し、付加価値額や給与の向上を目標として設定します。

付加価値額とは
営業利益・人件費・減価償却費を合わせた企業の稼ぐ力を示す指標です。 

④ 賃上げ要件を満たすこと
補助事業終了後、一人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増加させる計画が必要です。
※目標値未達の場合、補助金の返還義務があります。

⑤ 最低賃金要件を満たすこと
事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高く設定する必要があります。

⑥ 付加価値額を向上させること
付加価値額を年平均4.0%以上向上させる計画が必要です。

⑦ 一般事業主行動計画を公表していること
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」で公表する必要があります(申請締切日時点で有効なもの)。

⑧ 子育て等に関する職場環境整備に取り組むこと
子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組みを1つ選択し、事業計画に記載する必要があります。
※プラチナくるみん・くるみん・トライくるみん認定事業者は免除。

以下に該当する場合は申請できません。
・応募申請時点で従業員数が0名の事業者
・創業後1年に満たない事業者(新事業進出枠のみ申請不可)
・過去3年間に事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金の交付決定を合計2回以上受けた事業者

補助金額

補助金額

本補助金には3つの申請枠があります。

▶︎革新的新製品・サービス枠

従業員数補助上限額
1〜5人750万円(賃上げ特例:850万円)
6〜20人1,000万円(賃上げ特例:1,250万円)
21〜50人1,500万円(賃上げ特例:2,500万円)
51人以上2,500万円(賃上げ特例:3,500万円)

補助下限額:100万円

▶︎新事業進出枠

従業員数補助上限額
1〜20人2,500万円(賃上げ特例:3,000万円)
21〜50人4,000万円(賃上げ特例:5,000万円)
51〜100人5,500万円(賃上げ特例:7,000万円)
101人以上7,000万円(賃上げ特例:9,000万円)

補助下限額:750万円

▶︎グローバル枠

従業員数補助上限額
1〜20人2,500万円(賃上げ特例:3,000万円)
21〜50人4,000万円(賃上げ特例:5,000万円)
51〜100人5,500万円(賃上げ特例:7,000万円)
101人以上7,000万円(賃上げ特例:9,000万円)

補助下限額:750万円
最大9,000万円は、101人以上の事業者が賃上げ特例の適用を受けた場合の補助上限額です。
海外市場への販路開拓や輸出体制の整備などが対象となります。 

補助率

▶︎革新的新製品・サービス枠

対象者補助率
中小企業者1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時は2/3)
小規模企業・小規模事業者、再生事業者2/3

▶︎新事業進出枠

対象者補助率
中小企業者1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時は2/3)

▶︎グローバル枠

対象者補助率
対象事業者2/3

補助対象となる経費のうち、補助金として支給される割合のことです。
例えば、補助対象経費が1,000万円で補助率が1/2の場合、最大500万円が補助されます。
補助率が2/3の場合は、最大約667万円が補助されます。

対象となる経費

主な対象経費は以下のとおりです。

対象経費概要
機械装置・システム構築費機械装置や設備の導入、専用ソフトウェア・システムの構築などに要する経費です。
建物費(新事業進出枠・グローバル枠のみ)補助事業に使用される建物の建設、増築、改修などに要する経費です。
技術導入費外部から技術やノウハウを導入するために要する経費です。
専門家経費専門家から指導や助言を受けるために要する経費です。
運搬費設備や機器などの運搬料、宅配・郵送料などに要する経費です。
クラウドサービス利用費クラウドサービスの利用料などに要する経費です。
外注費加工や設計、試作品製作などを外部へ委託するために要する経費です。
知的財産権等関連経費特許権や商標権などの取得・活用に要する経費です。
広告宣伝・販売促進費補助事業で開発する製品・サービスの広告宣伝や販売促進に要する経費です。
原材料費試作品の開発や実証に必要な原材料などに要する経費です。
海外旅費(グローバル枠のみ)海外市場開拓や展示会への出展などに必要な海外渡航費です。
通訳・翻訳費(グローバル枠のみ)海外展開に必要な通訳・翻訳に要する経費です。

※革新的新製品・サービス枠では、「機械装置・システム構築費」の計上が必須です。
※新事業進出枠・グローバル枠では、「機械装置・システム構築費」または「建物費」のいずれかの計上が必須です。
※対象となる経費は、公募要領で定められた要件を満たすものに限られます。

申請開始・申請期限

項目日程
公募開始令和8年6月29日(月)
申請受付開始令和8年8月31日(月)
申請締切令和8年9月30日(水)18:00必着
採択発表令和8年12月頃(予定)

今後、第2回以降の公募も予定されていますが、詳細な日程は公表後に更新されます。 

加点項目と減点項目

加点項目

審査では事業計画の内容が最も重視されますが、一定の要件を満たす事業者は加点を受けられる場合があります。
いずれの加点項目も、申請締切日時点で要件を満たしていることが必要です。

▶︎主な加点項目

加点項目概要
パートナーシップ構築宣言加点「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにおいて、令和8年1月1日更新のひな形で宣言を公表している事業者が対象です。
くるみん加点次世代育成支援対策推進法に基づく認定(トライくるみん・くるみん・プラチナくるみんのいずれか)を受けている事業者が対象です。
えるぼし加点女性活躍推進法に基づく認定(えるぼし1〜3段階またはプラチナえるぼし)を受けている事業者が対象です。
健康経営優良法人加点「健康経営優良法人2026」の認定を受けている事業者が対象です。
経営革新計画加点都道府県などから有効な経営革新計画の承認を受けている事業者が対象です。
再生事業者加点中小企業活性化協議会などの支援を受けて再生計画に取り組んでいる事業者が対象です。
J-Startup・J-Startup地域版加点J-StartupまたはJ-Startup地域版に選定されている事業者が対象です。
研究開発費・試験研究費計上加点申請締切前期までに研究開発費または試験研究費を計上している事業者が対象です。
地域別最低賃金引上げに係る加点2024年10月〜2025年9月の間に、地域別最低賃金以上かつ2025年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が、全従業員の30%以上となる月が3か月以上ある事業者が対象です。
事業場内最低賃金引上げ加点2025年7月と申請直近月を比較し、全国目安となる63円以上の賃上げを実施した事業者が対象です。
新規輸出1万者支援プログラム加点(グローバル枠のみ)「新規輸出1万者支援プログラム」ポータルサイトへの登録が完了している事業者が対象です。
日本の食輸出1万者支援プログラム加点(グローバル枠のみ)「日本の食輸出1万者支援プログラム」ポータルサイトへの登録が完了している事業者が対象です。

加点項目を満たしていても採択が保証されるものではありません。採択の可否は、事業計画の内容や審査結果を踏まえて総合的に判断されます。

減点項目(採択率を下げないための注意点)

新事業進出・ものづくり補助金では、加点項目だけでなく、一定の条件に該当すると審査時に減点される場合があります。
過去の補助金の実績や賃上げ目標の達成状況なども審査対象となるため、事前に確認しておきましょう。  

▶︎補助金の基本要件を達成できなかった事業者

過去に中小企業庁が所管する補助金の交付を受けたものの、賃上げ要件や最低賃金要件などの基本要件を達成できなかった事業者は、審査時に減点される場合があります。

基本要件とは
補助事業終了後に達成すべき、賃上げや付加価値額の向上などの目標のことです。

▶︎加点項目の要件を達成できなかった事業者

過去に加点を受けて採択されたにもかかわらず、申請時に約束した加点要件を達成できなかった場合は、その後一定期間、中小企業庁が所管する補助金の審査で大幅な減点対象となることがあります。

加点要件とは
申請時に「賃上げを実施する」などの条件を満たすことを宣言し、その実施を約束する要件です。
達成できなかった場合は、以後の補助金申請に影響する可能性があります。

減点を避けるためのポイント

項目内容
事業計画を現実的に作成する無理な売上計画や賃上げ計画を立てず、達成可能な数値を設定しましょう。
賃上げ計画を確実に実施する採択後は計画どおりに給与や最低賃金を引き上げることが重要です。
提出書類に誤りがないか確認する書類の不備や入力ミスは審査に悪影響を与える可能性があります。
過去の補助金実績を確認する以前に採択された補助金で未達成の要件がないか確認しておきましょう。

必要書類(法人・個人・その他)

新事業進出・ものづくり補助金を申請する際は、事業計画書だけでなく、法人・個人事業主それぞれに必要な証明書類を提出する必要があります。
提出書類に不備があると審査対象外になる場合もあるため、事前に準備しておきましょう。

各種必要書類

▶︎法人用必要書類一覧

書類名概要
GビズIDプライムアカウント電子申請に必要なアカウントです。
事業計画書補助事業の内容や事業計画をまとめた書類です。
決算書(直近3期分)直近3期分の決算書です。
収益事業を行っていることを説明する書類直近の確定申告書別表一及び法人事業概況説明書の控えです。
従業員数が確認できる書類労働基準法に基づく労働者名簿の写し(申請時点のもの)です。
見積書見積額が50万円(税抜)以上の場合は3者以上の見積書が必要です。

▶︎個人用必要書類一覧

書類名概要
GビズIDプライムアカウント電子申請に必要なアカウントです。
事業計画書補助事業の内容や事業計画をまとめた書類です。
決算書(直近3期分)青色申告の場合は青色申告決算書、白色申告の場合は収支内訳書です。
収益事業を行っていることを説明する書類直近の確定申告書第一表の控えです。
従業員数が確認できる書類労働基準法に基づく労働者名簿の写しです。
見積書見積額が50万円(税抜)以上の場合は3者以上の見積書が必要です。

▶︎その他条件に応じて必要となる書類

書類名概要
リース契約関係書類リース契約で導入する設備等を申請する場合に提出が必要です。

活用事例

新事業進出・ものづくり補助金では、これまでのものづくり補助金の採択事例も参考になります。ここでは、新規事業や設備投資によって生産性向上や販路拡大を実現した代表的な事例を紹介します。

事例①製造業(精密部品加工)

自動車部品の受託加工を行っていた企業が、医療機器部品市場へ新規参入するため、高精度加工設備を導入しました。

導入内容:5軸マシニングセンタや三次元測定機を新たに導入し、医療機器向け精密部品の製造体制を構築しました。
事業費総額:3,000万円
補助額:1,500万円
効果:医療分野への新規参入に成功し、新たな取引先を獲得しました。高付加価値製品の製造が可能となり、売上と利益率の向上につながりました。

事例②食品製造業

地元農産物を活用した冷凍食品を開発するため、
新たな製造ラインを整備しました。

導入内容:急速冷凍機や真空包装機、衛生管理設備を導入し、新商品の製造を開始しました。
事業費総額:2,200万円
補助額:1,100万円
効果:保存期間が大幅に延びたことで全国への販売が可能となり、ECサイトや百貨店への販路拡大を実現しました。

事例③建設業

建設工事を中心に行っていた企業が、
建築物の3D測量サービスを新たな事業として開始しました。

導入内容:3Dレーザースキャナー、ドローン、測量解析ソフトを導入しました。
事業費総額:1,800万円
補助額:900万円
効果:測量時間を約70%短縮し、新規顧客の獲得にも成功しました。従来より高単価なサービス提供が可能となりました。

事例④宿泊業

旅館が外国人観光客向けサービスを強化するため、
セルフチェックインシステムや多言語対応設備を導入しました。

導入内容:自動チェックイン機、多言語案内システム、キャッシュレス決済設備を整備しました。
事業費総額:1,500万円
補助額:750万円
効果:受付業務の効率化と人件費削減を実現し、インバウンド需要の増加に対応できる施設となりました。

事例⑤サービス業(クリーニング業)

一般クリーニング店が、
高級ブランド衣類専門クリーニング事業へ進出しました。

導入内容:特殊洗浄機器や高級衣類専用仕上げ設備を導入し、新サービスを開始しました。
事業費総額:1,200万円
補助額:600万円
効果:客単価が大幅に向上し、高価格帯サービスによる新たな収益源を確保しました。既存顧客のリピート率も向上しています。

まとめ

新事業進出・ものづくり補助金は、新しい市場への挑戦や高付加価値な製品・サービスの開発を目指す中小企業・小規模事業者にとって、設備投資の負担を大きく軽減できる非常に魅力的な制度です。
一方で、補助金を受けるためには、単なる設備購入ではなく「新規性」「市場性」「事業の実現可能性」などが厳しく審査されます。そのため、事業計画書の内容が採択を左右する重要なポイントとなります。

また、補助金は公募期間が限られており、必要書類の準備にも時間がかかります。申請を検討している場合は、早めに情報収集と事業計画の作成を進めることが大切です。
自社の新たな成長につながる設備投資を計画している方は、この制度を積極的に活用し、事業拡大や競争力向上につなげていきましょう。

不明点や個別相談をご希望の方は、無料診断フォームまたは公式LINEにてお気軽にお問い合わせください。

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