えるぼし認定とは?

えるぼし認定とは、女性活躍推進法にもとづき、女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業が受けられる厚生労働大臣の認定制度です。
女性活躍を積極的に進めている企業として、国からの“お墨付き”を得られる制度です。
取得すると、会社パンフレットや名刺、求人広告、ホームページなどに
「えるぼしマーク」を掲載でき、信頼性の向上・人材確保に有利になります。
えるぼし認定の仕組み
えるぼしは、以下の5つの基準をどれだけ満たしたかで3段階に認定されます。
- 採用
- 継続就業
- 労働時間等の働き方
- 管理職比率
- 多様なキャリアコース
この基準は、女性の働きやすさやキャリアの公平性がどれだけ実現されているかを数値で確認するものです。
3段階の違い

えるぼしは1段階目・2段階目・3段階目があり、満たした基準数によって認定されます。
3段階目(最高位)
5つの基準すべてを満たし、女性活躍の実績を毎年データベースに公表している企業。
最も女性の活躍が進んでいる企業として評価される。
2段階目
5つの基準のうち3つ以上を満たし、未達成基準について関連する取り組みを行い、かつ2年以上実績が改善している。
1段階目
5つの基準のうち1つ以上を満たし、未達成基準については関連取り組みを行い改善が2年以上継続している。
えるぼし取得に必要な5つの基準

採用
直近の3事業年度について、男女の採用倍率が同程度である、
または女性の採用割合が業界平均以上であること。
継続就業
女性従業員の勤続年数が男性の7割以上、
または10年前採用の継続雇用率が男女比で8割以上。
労働時間等の働き方
法定時間外労働(残業)と法定休日労働を合わせ、直近事業年度の各月すべてで45時間未満であること。
管理職比率
女性管理職が業界平均以上または課長職への昇進割合が男性の8割以上。
多様なキャリアコース
中小企業は以下の1項目以上(直近3年度)
A. 女性非正社員から正社員登用
B. キャリアアップのための区分転換
C. 退職した女性の再雇用
D. 30歳以上の女性を正社員採用
プラチナえるぼし

えるぼし認定の上位に「プラチナえるぼし」があります。
これは、えるぼしを取得した企業の中でも、特に女性活躍の取り組みが優れている場合に認定される制度です。
えるぼし3段階目とどう違うの?
✔ えるぼし3段階目は「基準をすべて満たした企業」
✔ プラチナえるぼしは「さらに上の水準の取り組みをしている“特に優良な企業”」
つまり、えるぼしの上に“もうひとつの上位ランク”として存在するのがプラチナえるぼしという関係です。
プラチナえるぼしの特徴
えるぼしを取得した企業のうち、以下のような企業が対象です。
- 女性活躍の取り組みが特に優れている
- 継続した改善が見られる
- 制度だけでなく“実績として根付いている”
- 働きやすい環境整備が高度な水準で進んでいる
厚生労働省が「特に優良」と認めた場合に与えられます。
えるぼし取得の流れ

対象条件
えるぼし認定は「法人(企業)」のみが対象。
個人事業主は対象外です。
制度の目的が「企業内で働く女性の活躍推進状況」を評価するため、
法人のみが対象となります。
えるぼし認定のステップ
▶︎ステップ1:一般事業主行動計画の策定・届け出
女性活躍を進めるための計画を作成し、労働局に届け出ます。また、自社サイトに掲載する必要があります。
一般事業主行動計画は、女性活躍や働き方改革を進めるために、企業が決める目標と具体的な取り組みを整理した計画です。
▶︎ステップ2:取り組みの実施
行動計画で立てた内容(採用改善、時短制度、管理職育成など)を実行します。
▶︎ステップ3:女性活躍推進企業データベースへ実績を公表
毎年、女性活躍に関する実績数値をデータベースへ登録します。
▶︎ステップ4:労働局へ申請
「えるぼし認定申請書」を提出し、各項目のエビデンス(証拠資料)を添付します。
準備物
1. 一般事業主行動計画の写し
2. 女性活躍推進企業データベースへの実績登録完了
3. 基準を満たしていることを示す資料
| 採用状況のデータ | 応募者数、採用者数、男女別 |
|---|---|
| 継続就業データ | 男女別勤続年数 |
| 管理職データ | 男女別管理職数、昇進割合 |
| 労働時間数 | 月ごとの時間外・休日労働合計 |
| キャリアコース | 正社員転換者数・再雇用者数 |
4. 就業規則・制度の写し
育児休業・時短勤務など、取り組みに関連する制度の根拠書類。
主な取り組み例
▶︎採用
女性の応募を増やす求人内容の改善
女性向け説明会の実施
▶︎継続就業
育児休業からの復帰率向上
介護と両立できる制度整備
▶︎働き方
残業時間の削減
テレワーク導入
▶︎管理職比率
女性向け研修
リーダー候補の育成
▶︎キャリアコース
非正社員から正社員登用制度の整備
退職者の再雇用制度の導入
取得に向けての注意点
時間外労働の基準が厳しい
「各月45時間未満」は企業によって達成しにくいので早めの改善が必要です。
実績の“見える化”が重要
ただ制度があるだけでは認定は難しいため、実績として数字を改善していく必要があります。
認定のメリット
- 採用力の向上
- 企業イメージアップ
- 女性人材の定着
- 自治体の入札加点(地域による)
- 優良企業としてのブランディング
えるぼし認定で加点される主な補助金
えるぼし認定を取得していると、国の主要な補助金で 加点対象 となる場合があります。
女性活躍に積極的な企業であることが評価され、採択の可能性が上がります。
以下の補助金で加点対象となります。
小規模事業者持続化補助金
日本商工会議所が実施する小規模事業者向けの代表的な補助金で、
「女性活躍推進の取り組みを行う事業者」として 加点対象 となります。
ものづくり補助金
中小企業の設備投資を支援する全国的な補助金です。
えるぼし認定取得企業は、「女性活躍・両立支援の取組評価」の中で 加点措置 を受けられます。
新事業進出補助金(自治体系)
新分野展開や新事業への取り組みを支援する補助金で、えるぼし認定は 加点対象として扱われます。
活用事例

事例①製造業

女性が働き続けられる環境整備
導入内容:時短勤務制度、交代勤務の柔軟化、女性管理職育成研修
効果:女性の離職率が半分に減少、管理職に女性が初めて就任
事例②IT企業

働き方の柔軟性向上
導入内容:フルリモート制度、コアタイムなしのスーパーフレックス制度
効果:女性の応募数が2.3倍、育児中社員の復職率が100%に改善
事例③小売業

キャリア形成支援
導入内容:非正社員から正社員への登用制度を強化
効果:女性店長が増加し、売上も前年比110%に上昇
事例④医療・介護業

長時間労働の削減
導入内容:夜勤の負担分散シフト、残業削減プロジェクト
効果:月平均残業が20時間減少し、基準を満たして認定取得
事例⑤物流業

女性の継続就業支援
導入内容:産休・育休復帰プログラム、復帰後の短時間勤務制度
効果:育休復帰率が20%→95%へ、えるぼし2段階目を取得
えるぼし認定は、単なる“制度”ではなく、女性が安心して働き、成長し、活躍できる社会をつくるための大切な第一歩です。
認定を目指す過程そのものが、企業の働き方改革につながり、結果として、企業の成長、従業員の定着、採用力アップという大きなメリットをもたらします。
あなたの会社も、えるぼし認定に取り組むことで“女性が活躍できる本当に良い会社”として未来へ進むことができます。
不明点や個別相談をご希望の方は、無料診断フォームまたは公式LINEにてお気軽にお問い合わせください。

