中小企業新事業進出促進補助金とは?

「中小企業新事業進出促進補助金」は、中小企業が既存事業とは異なる“新しい事業”に挑戦する取り組みを支援する補助金です。新市場への展開や高付加価値型ビジネスへの進出を後押しし、生産性向上と賃上げにつなげることを目的としています。
“いまとは違う新しい事業”を始めたい中小企業向けの補助金。
新分野への挑戦に必要な設備・システム導入などの費用を最大9,000万円まで支援してくれます。
各種条件

この補助金に申請できるのは、国内に本社・事業所を持つ中小企業等で、補助金の要件(新事業進出要件、付加価値額要件、賃上げ要件など)を満たす必要があります。また、最低1期以上の決算書が必要で、従業員数0名の事業者は対象外となります。
・新市場向けの“新しい商品・サービス”をつくる計画であること
・新事業で売上・付加価値が伸びる見込みがあること
・従業員に対して賃上げの取り組みを行うこと
・決算書が1期以上ある中小企業であること
対象業種
製造業、建設業、サービス業、小売業、宿泊業など、日本標準産業分類に基づく幅広い業種が対象。
対象業種は幅広いですが、暴力団関係や法令違反企業、従業員0名企業などは申請不可になります。
申請条件
▶︎新事業進出要件
【要件】
新事業進出指針が定める「新事業進出」に該当すること。
【ポイント】
- 既存事業とは異なる 新しい製品・サービス をつくる
- 新しい市場(顧客層) に向けた事業であること
- 自社にとって新規性があることを説明する必要がある
▶︎付加価値額要件
【要件】
補助事業終了後3〜5年間で、付加価値額(または1人当たり付加価値額)が年平均4.0%以上増加する事業計画を立てること。
【ポイント】
- 付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
- 自社で目標値(付加価値額目標値)を設定
- 最終年度に目標を達成する必要あり
- CAGR(年平均成長率)で算出する
▶︎賃上げ要件
【要件】
補助事業終了後3〜5年間で、次のいずれかの水準以上で賃上げを行う
- 一人当たり給与支給総額の年平均成長率が、都道府県別最低賃金の過去5年平均成長率以上
- 給与支給総額の年平均成長率が 2.5%以上
【ポイント】
- 自社で目標(給与支給総額目標値)を設定
- 達成できなかった場合は補助金返還義務あり
- 都道府県ごとの基準値表が公表されている
▶︎事業場内最低水準要件
【要件】
事業場内最低賃金を、地域別最低賃金より 一定額以上上回る水準 に設定していること。
【ポイント】
- 「事業場内最低賃金基準値」を満たす必要あり
- 賃上げ特例を利用する場合は、基準値+20円(合計+50円)必要
▶︎ワークライフバランス要件
【要件】
働きやすい職場環境の整備に取り組んでいること。
【ポイント(いずれか該当)】
- 一般事業主行動計画の策定・公表
- 働き方改革に関する社内制度の整備
- 育児・介護と仕事の両立支援
- 有給休暇取得促進などの環境整備
ワークライフバランス要件は「賃上げ特例」を利用する場合にも関連します。
補助金額
従業員数により補助上限額が変わる。
従業員数20人以下 750万円~2,500万円(特例で3,000万円)
従業員数21~50人 750万円~4,000万円(特例で5,000万円)
従業員数51~100人 750万円~5,500万円(特例で7,000万円)
従業員数101人以上 750万円~7,000万円(特例で9,000万円)
()内の上限額を使いたい場合は、以下の要件を満たす必要があります。
▶︎賃上げ特例要件(※返還条件あり)
この要件を満たすと、補助上限額が増額されます。未達の場合は増額分の返還義務あり。
■ 要件
補助事業終了後の 3~5年の事業計画期間 で、下記 2つの条件を“両方”満たすこと。
(1)給与支給総額の大幅増加
通常の賃上げ要件(年平均+2.5%)に加えて、さらに年平均+3.5%以上(合計+6.0%以上) の増加を行うこと。(2)事業場内最低賃金の大幅引き上げ
通常の「事業場内最低賃金基準値」に対して、さらに+20円(合計+50円以上) 引き上げること。
■ 詳細
- 申請時に「大幅な賃上げ計画」を電子申請システムへ入力
- 計画内容の妥当性は審査の対象
- 事業化状況報告の際、決算書・賃金台帳等 を提出し達成状況を確認
- 故意または重大な過失で賃金を下げて達成することは不可
■ 返還要件
実績報告後の事業化状況報告で、上記(1)(2)のどちらかでも未達の場合
- 賃上げ特例で増額された補助金(引上げ分)は全額返還
- 返還額は「交付された補助金額」の範囲内
■ 要点まとめ
- 賃上げ特例は「通常の賃上げ+大幅賃上げ」の両方必須
- 年平均賃上げ +6%以上
- 事業場内最低賃金 +50円以上
- 未達の場合は上限増額分を 全額返還
補助率
補助率は 1/2(2分の1)
対象となる経費
機械装置・システム構築費
建物費
運搬費
技術導入費
知的財産権関連経費
外注費
専門家経費
クラウドサービス利用費
広告宣伝・販売促進費
申請開始、申請期限
▶︎第2回
公募期間:令和7年9月12日(金)〜 令和7年12月19日(金)18:00
採択結果予定:令和8年2~3月頃想定
※採択日は前後する可能性あり。
▶︎第3回
公募期間:令和8年春~夏頃〜おおむね開始から2~3ヶ月後
採択結果予定:令和8年夏~秋頃
※第3回は正式な公募要領が出ていないため、過去スケジュールに基づく予測形式で記載しています。1回の公募につき1事業者1申請のみとなっております。
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必要書類(法人、個人、その他条件

各種必要な書類
▶︎法人用必要書類一覧
| 書類名 | 概要 |
|---|---|
| 決算書一式(直近1期以上) | 収益状況・財務状況を確認するために必要。 |
| 確定申告書別表一・法人事業概況説明書の控え | 法人が収益事業を行っている証明。 |
| 労働者名簿の写し | 従業員数の確認に使用。 |
| 新事業売上高要件を証明する資料(必要な場合) | 売上10億円以上企業など特例に該当する場合に提出。 |
| 事業計画書(電子申請) | 新事業の内容、売上計画、付加価値額計画を記載。 |
| 各種誓約書・同意書 | 補助金のルール遵守に関する誓約。 |
| 法人番号を確認できる書類 | 企業の識別情報として必須。 |
▶︎個人用必要書類一覧
| 書類名 | 概要 |
|---|---|
| 確定申告書第一表の控え | 個人事業主としての収益事業の証明。 |
| 青色申告決算書または収支内訳書 | 収益と費用の実績を確認するために必要。 |
| 労働者名簿の写し | 従業員数の確認。 |
| 事業計画書(電子申請) | 新事業内容、売上計画、成長計画を記載。 |
| 各種誓約書・同意書 | 補助金のルールを遵守する誓約。 |
| 住所・氏名を確認できる資料 | 本人確認用。 |
活用事例

事例①製造業

新たな高付加価値食品の製造ライン構築
導入内容:自動包装機・品質検査システムを導入
事業費総額:3,800万円
補助額:1,900万円
効果:無人化による生産性向上、販路拡大で売上15%増
事例②飲食業

セントラルキッチン方式による新商品開発
導入内容:真空調理機・冷凍設備導入
事業費総額:2,000万円
補助額:1,000万円
効果:新ブランド立上げ成功、オンライン販売で新市場獲得
事例③小売業(EC)

新ジャンルのEC事業参入
導入内容:CRMシステム・EC構築・広告宣伝費
事業費総額:1,500万円
補助額:750万円
効果:平均客単価が20%向上、サブスクリプション売上新規獲得
事例④宿泊・観光業

高付加価値型ワーケーションサービス提供
導入内容:改装工事・高速通信環境整備
事業費総額:4,500万円
補助額:2,250万円
効果:長期滞在者が増加し稼働率アップ
事例⑤農業

新ブランド野菜の加工・販売事業
導入内容:選別機・自動梱包ライン
事業費総額:2,800万円
補助額:1,400万円
効果:加工品の売上が既存事業の10%以上を占め、新市場を開拓
この補助金は、中小企業が“これまでにない挑戦”に踏み出すための大きな後押しとなる制度です。新しい市場に向けた製品開発やビジネスモデルの転換など、大きな変化を起こすタイミングに最適な支援です。自社の未来を切り開く力として、ぜひ積極的にご活用ください。
申請には細かな条件や書類の準備が必要となりますので、内容をよくご確認のうえ、準備を進めていただくことをおすすめします。
不明点や個別相談をご希望の方は、無料診断フォームまたは公式LINEにてお気軽にお問い合わせください。


