事業承継・引継ぎ補助金【11次・12次】

補助金

事業承継・引継ぎ補助金【11次・12次】とは?

中小企業や個人事業主が事業承継、事業再編、事業統合を行う際にかかる経費の一部を支援する補助金です。
特に、第三者承継(M&A)に伴い、経営資源の引継ぎに必要な専門家活用費用などを補助します。
対象は「買い手支援類型(Ⅰ型)」と「売り手支援類型(Ⅱ型)」の2種類があります。

会社やお店を引き継ぐときに必要な専門家費用や手続き費用の一部を、国が助けてくれる制度です。

各種条件

この補助金を受けるには、日本国内で事業を営む中小企業や個人事業主で、決められた条件を満たしている必要があります。

対象業種

製造業、卸売業、小売業、サービス業など、中小企業基本法で定められた規模要件に合致する事業者。
(例:製造業は資本金3億円以下または従業員300人以下、小売業は資本金5,000万円以下または従業員50人以下など)

申請条件

  • 国内拠点があること
  • 個人事業主は開業から5年以上経過していること
  • 暴力団関係など反社会的勢力でないこと
  • 他の補助金と重複しないこと
  • 「M&A支援機関登録制度」に登録されたFA・仲介業者を利用する場合、要件に合致していること

補助金額

【買い手支援類型(Ⅰ型)】

  • 補助率:経費の2/3以内
  • 上限:600万円
  • デュー・ディリジェンス費用加算:最大200万円
  • 廃業費加算:最大150万円
  • 下限:50万円

【売り手支援類型(Ⅱ型)】

  • 補助率:1/2以内(条件により2/3以内)
  • 上限:600万円(条件により変更)
  • デュー・ディリジェンス費用加算:最大200万円
  • 廃業費加算:最大150万円
  • 下限:50万円
デュー・ディリジェンス
M&A時に相手企業の財務・法務・事業内容などを詳細に調べること

補助枠の比較

①事業承継促進枠

概要:今後5年以内に親族や従業員への事業承継予定の中小企業を対象に、設備投資などを支援。

対象経費:設備投資費用、店舗・事務所の改装費など。

補助率:中小企業/小規模事業者は最大2/3、その他は1/2。

補助上限:通常800万円、賃上げ実施で最大1,000万円。

おすすめ状況は「親族承継」や「従業員承継」で、生産性向上のため設備投資を検討している場合です。

②専門家活用枠

概要:M&Aに着手・予定している中小企業等を対象に、FA(ファイナンシャルアドバイザー)や仲介、DD(デュー・ディリジェンス)など専門家費用を補助。

対象経費:FA・仲介費用、DD、セカンド・オピニオン、表明保証保険料など。登録された支援機関による費用に限る。

補助率:
買い手支援型:条件によって1/3・1/2・2/3(業績悪化など特定条件で優遇)
◯売り手支援型:1/2・2/3(赤字または営業利益率の低下などの場合)



補助上限:買い手支援型:600〜800万円(通常)、最大2,000万円(特定条件)
◯売り手支援型:600〜800万円

おすすめ状況はM&Aを進めるため、専門家による支援(交渉・Due Diligenceなど)が必要な場合です。

③PMI推進枠

概要:M&A後の経営統合(PMI: Post Merger Integration)に関する専門家や設備投資を支援。



対象経費:設備費、外注費、委託費など。

補助率:専門家活用タイプは1/2。事業統合投資タイプは中小企業2/3、小規模も2/3。

補助上限:
■専門家活用タイプ:150万円■事業統合投資タイプ:通常800万円、賃上げで1,000万円まで。

おすすめ状況はM&A成立後、経営や事業の統合を進めたい場合です。

④廃業・再チャレンジ枠

概要:既存事業を廃業し、新たな事業に再挑戦する場合の廃業費用等を補助。他枠との併用可能。



対象経費:廃業支援費、在庫廃棄、解体費など。



補助率:単独で2/3または1/2。他枠併用時は各々の補助率による。

補助上限:150万円(併用申請可で、他枠の上限に加算される)。

おすすめ状況は事業廃止後に新分野へ再チャレンジを検討している場合です。

対象となる経費

  • 専門家への謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料
  • 廃業に関する費用(廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費)

申請開始・申請期限

公募回申請開始日締切日(受付終了)備考
第11次2025年5月9日(金)2025年6月6日(金)17:00まで申請はJグランツ(電子申請)のみ受付。GビズIDプライムアカウント必須。事前取得には1〜3週間程度かかるため、4月中の取得が望ましい。
第12次2025年8月22日(金)2025年9月19日(金)17:00まで申請はJグランツ(電子申請)のみ受付。GビズIDプライムアカウント必須。夏季のため申請準備期間が短く、早めの資料収集・見積取得が必要。

補助金申請には、必要書類のPDF化、相見積書の取得、経費計画書の作成など、事前準備が必須。
締切直前はアクセス集中により申請エラーや送信遅延が起こる可能性があるため、締切日の3日前までの申請完了が推奨されている。

Jグランツ
国の補助金申請専用の電子システム。紙申請不可。
GビズIDプライム
Jグランツ利用に必要な本人確認済みアカウント。申請から発行まで通常1〜2週間、混雑期は3週間かかる。

何から準備を始めればいいのかな?

この後に記載している必要な書類以外にも、GビズIDプライムアカウントが必要になる為、何から準備をすればいいか分からない方は、お気軽に無料診断フォームからお問い合わせください。

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必要書類(法人、個人、その他条件)

各種必要な書類

▶法人用必要書類一覧

書類名概要
履歴事項全部証明書登記内容を確認する書類。発行から3か月以内。必要に応じて閉鎖事項全部証明書も提出。
決算書(3期分)貸借対照表、損益計算書。直近の確定申告に基づくもの。
住民票(代表者)発行3か月以内。国籍・在留資格などの記載あり。マイナンバーは消去。外国籍の場合は追加情報も必要。
労働条件通知書常時使用する従業員1名分。氏名など個人情報部分はマスキング可。

▶個人用必要書類一覧

書類名概要
住民票発行3か月以内。国籍・在留資格などの記載あり。マイナンバーは消去。外国籍の場合は追加情報も必要。
確定申告書B(3期分)第一表・第二表と所得税青色申告決算書(P1~P4)。電子申告の場合は受信通知など追加。
開業届税務署提出済の控え。
青色申告承認申請書税務署提出済の控え。
労働条件通知書常時使用する従業員1名分。氏名など個人情報部分はマスキング可。

活用事例

事例① 製造業

後継者不在の工場を第三者に譲渡

導入内容:FA・仲介費用、デュー・ディリジェンス費用を補助活用
事業費総額:900万円
補助額:600万円
効果:地域雇用維持と生産ライン継続

事例② 小売業

地方の老舗店舗を事業譲渡

導入内容:契約書作成、仲介費用
事業費総額:300万円
補助額:200万円
効果:地域の観光資源として再活用

事例③ サービス業(旅館業)

廃業予定の旅館をM&Aで承継

導入内容:廃業費用+改装準備
事業費総額:700万円
補助額:500万円
効果:地域観光の活性化

事例④ 卸売業

業務提携先の吸収合併

導入内容:吸収合併に伴う契約費用、専門家謝金
事業費総額:400万円
補助額:266万円
効果:仕入・販売網の拡大

事例⑤ IT業

後継者不在の小規模IT企業を譲受

導入内容:価値算定費用、契約書レビュー費用
事業費総額:500万円
補助額:333万円
効果:新規顧客と技術資産の獲得

事業承継・引継ぎ補助金は、後継者問題やM&Aに伴う費用負担を軽減し、事業の存続と地域経済の活性化を後押しする制度です。
条件や期限をしっかり確認し、専門家と連携して準備を進めることが採択への近道です。

申請には細かな条件や書類の準備が必要となりますので、内容をよくご確認のうえ、準備を進めていただくことをおすすめします。
不明点や個別相談をご希望の方は、無料診断フォームまたは公式LINEにてお気軽にお問い合わせください。

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